言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 検胃粘膜を用いた胃炎・胃癌患者の粘膜細菌叢と宿主分子異常の検討 |
会議名 | 第109回 日本消化器内視鏡学会総会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | シンポジウム・ワークショップ パネル(公募) |
発表者・共同発表者 | ◎下釜翼,田原智満, 長沼誠 |
発表年月日 | 2025/05/09 |
開催地 (都市, 国名) |
ロイトン札幌・札幌プリンスホテル・京王プラザホテル札幌 |
概要 | 背景・目的:ピロリ以外の胃粘膜細菌叢と胃癌との関わりが注目されるが,慢性胃炎,胃癌の胃粘膜細菌叢の系統的な検討は十分ではない.慢性胃炎,胃癌患者に対し,内視鏡生検胃粘膜を用い細菌叢解析を行い,宿主分子異常との関連を検討した.方法:対象は胃癌323例,非担癌者402例 (潰瘍103名,器質疾患なし299名).胃癌組織 (GCT: n=323),癌患者非癌部 (GCN: n=219),潰瘍患者 (Ul: n=103), 器質疾患なし (Non-ul: n=299)計944個の胃粘膜生検材料を16SrRNA解析(V3-V4領域)に供した.非癌部の胃粘膜は前庭部大彎より採取した.宿主分子異常について,DNAメチル化(IGF2, SLC16A12, SOX11, P2RX7, MYOD1, LINE1),テロメア長, p53変異(癌部)を検討した.結果:細菌多様性指数はNon-ulに対し,Ul・GCNで低下,GCTで上昇していた.存在割合・頻度にもとづきUl,GCN,GCTに特徴的な菌(属)をそれぞれ10,49,70個同定した.GCN,GCTに特徴的な菌として,既報に認めるPrevotella,Streptococcusに加え複数の菌が同定され,増加・減少菌を組み合わせたIndexにより各サンプルの識別を試みたところGCN,GCTをそれぞれAUC 0.81,0.87で識別した.非腫瘍胃粘膜のIndex上昇は,分化型胃癌患者,腸上皮化生,胃粘膜メチル化レベルの上昇,テロメア短縮に関連を認め,胃癌におけるIndex上昇は胃癌の予後不良因子,p53変異との関連を認めた.予測メタゲノム解析により非腫瘍胃粘膜におけるIndex上昇に伴い発癌性物質の代謝に係わる酵素の減少が認められた.結語:胃粘膜細菌叢は宿主分子異常と相互作用し胃癌リスクや予後に関連している可能性がある |