言語種別 日本語
発表タイトル 炎症性腸疾患の増悪時に赤痢アメーバが同定された4例の検討
会議名 第122回 日本内科学会総会 医学生・研修医・専攻医日本内科学会ことはじめ 2025 大阪
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎尾崎 怜奈, 本澤 有介, 岡 新, 城 直輝, 津田 健太, 岡林 功, 齊藤 詠子, 深田 憲将, 長沼 誠
発表年月日 2025/04/19
開催地
(都市, 国名)
大阪 リーガロイヤルホテル大阪
概要 【背景】炎症性腸疾患(IBD)は原因不明の慢性炎症性腸疾患であり、クローン病(CD)と潰瘍性大腸炎(UC)に大別される.両疾患の特徴として再燃と寛解を繰り返し,しばしば治療に難渋する事がある.その要因として感染症が関与している事があり,免疫抑制治療の観点から治療法に苦慮するケースがある.今回我々は,IBDの診断もしくは再燃時に赤痢アメーバが同定され、治療に難渋した4症例を経験したので報告する.【対象と方法】対象は2024年4月-12月まで当院にてIBD治療を受けた症例で, 赤痢アメーバ同定の定義はIBD診断時および再燃時の便もしくは腸管組織にて同原虫が直接検鏡法で確認され,抗原検査が陽性の症例とした.検討項目は内視鏡所見、臨床経過及び治療転帰とした.
【結果】赤痢アメーバが確認されたIBD症例は4症例(CD1例,UC3例)で、男:女=2:2,平均年齢41歳(19-52),平均罹病期間8か月(0-252)で,全例明らかな感染経路は不明であった.免疫抑制療法の治療歴を有していた症例は2例であったが,他2例は未治療症例であった.内視鏡所見では直腸と盲腸に白苔を伴う多発潰瘍・びらんといったアメーバ腸炎に認められる所見を呈した症例は1例のみで,他の3例はいずれもIBDの増悪と考えられる所見であった.治療としては全例にメトロニダゾールを含めた赤痢アメーバに対する治療を先行し,全例赤痢アバーバの消失が確認されたが,同治療による軽快例は1例のみで,3例は症状が持続し,最終的にはIBDに対する免疫抑制療法(ステロイド1例, 抗TNF-α製剤1例, 抗IL-12/23製剤1例)が必要であった.【考察】IBDの診断及び再燃時に赤痢アメーバが同定された症例を経験した.最終的にIBD治療を要するケースが多いものの,先行する抗生剤加療が重症化予防に重要と考えられ,日常臨床での積極的な感染症に対する評価が重要であると思われた.