言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 脳卒中医がマスターする認知症診療 |
会議名 | 第50回日本脳卒中学会学術集会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 特別講演・招待講演など |
発表者・共同発表者 | ◎藥師寺祐介 |
発表年月日 | 2025/03/07 |
開催地 (都市, 国名) |
大阪 |
開催期間 | 2025/03/06~2025/03/08 |
概要 | アルツハイマー型認知症(AD)への抗アミロイドβ(Aβ)抗体薬が実臨床に導入されて1年が経過した。従来, ADは異常なAβやリン酸化タウの脳内蓄積により神経細胞死が惹起される神経変性疾患と捉えられていた.しかし,近年ではこれらの神経変性の開始前に脳小血管(SVD)病負債による血液・脳関門障害が先行することが唱えられるようになった. このAD発症への血管障害関与説ついては,抗Aβ抗体薬の副作用としての出血性アミロイド関連画像異常(ARIA-H)とされる脳微小出血(CMBs)やcortical superficial siderosis(cSS)が認知されることで、より一層受け入れられるようになった.ARIAのほとんどは無症候性だが,時に脳症や痙攣を伴うため,救急搬送された場合に初期対応する脳卒中医も取り扱いに熟知しておかねばならない.なお抗Aβ抗体薬投与中患者へのrt-PA療法については同療法の適正治療指針第三版において、より慎重な適応決定が必要であることが追記された.ARIAでにわかに注目されているのが,その根底にある脳アミロイド血管症(CAA)である.CAAは脳卒中医としては脳葉出血として馴染み深いが,その他にも認知症,一過性局所神経学的エピソード(TFNE),CAA関連炎症(CAAri)などの表現型を持つ.最近では頭部外傷,脳神経外科手術,肢体硬膜移植の数十年後に脳出血を繰り返す医原性CAAが注目されている.ADのリスクは脳卒中同様に高血圧,糖尿病,肥満,喫煙,運動不足など修正可能な因子が代表的である.これらの修正可能因子の是正による脳卒中一次・二次予防自体が大幅にAD関連の認知症リスク減少に貢献可能ということを我々脳卒中医は忘れてはならない. |