言語種別 日本語
発表タイトル 抗血栓療法における脳表ヘモジデリン沈着と虚血および出血リスクの関連
会議名 第50回日本脳卒中学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎犬塚諒子, 三輪佳織, 古賀政利, 藥師寺祐介, 田中寛大, 吉村壮平, 佐々木真理, 工藤與亮, 塩澤真之, 井手俊宏, 岡田靖, 長谷川泰弘, 寺崎修司, 猪原匡史, 平野照之, 豊田一則
発表年月日 2025/03/06
開催地
(都市, 国名)
大阪
開催期間 2025/03/06~2025/03/08
概要 【目的】脳表ヘモジデリン沈着(cSS)は脳アミロイド血管症に関連する脳小血管病(SVD)の一表現型である.脳卒中や出血の発症リスクが指摘されるが, 実臨床における縦断的研究は乏しい. 本研究では, 抗血栓薬投与中の患者においてcSSと出血性または虚血性イベントリスクとの関連を検討した. 【方法】本研究は, 2016年から2019年の間に全国52病院から経口抗血栓薬を服用している脳血管疾患または心血管疾患患者を登録した前向き多施設観察研究である. 登録時に頭部MRI検査で, 脳表ヘモジデリン沈着(cSS), 白質高信号域(WMH), 脳微小出血(CMB), ラクナ(lacune), 基底核血管周囲腔拡大(BGPVS)のSVDを全例に評価した. 評価項目は虚血性イベント(虚血性血管イベント[IVE], 虚血性脳卒中[IS]), 出血性イベント(大出血[MB], 頭蓋内出血[ICH], 非大出血[nMB]), 死亡が含まれた. 各評価項目における1000人年あたりの発生率(IR)とIR比(IRR)を算出した. 【結果】5037例の患者(71.2±11.2歳、男性67%)のうち, 105例(2.0%)にcSSを認めた. 中央値2[IQR1.8-2.03]年の間に, IVEは278例, ISは197例, MBは93例, ICHは55例, nMBは147例, 死亡は217例観察された. cSS群は非cSS群と比べ, IVE(20.95 vs 29.13/1000人年)とIS(15.64 vs 20.34)はIRが数値上低い傾向にあり, MB(9.61 vs 5.15)と死亡(35.82 vs 21.87)はIRが高い傾向にあったが, 各IRRは統計学的に有意ではなかった. またワルファリン投与群(n=12)では, MB(80.36 vs 18.54, p=0.159), ICH(80.36 vs 15.84, p=0.119), 死亡(142.95 vs 39.61/1000人年, p=0.079)が非cSS群と比較しIRが高い傾向にあった. 【結論】抗血栓薬内服下においてcSSを有する患者は大出血と死亡が多い傾向を示した.