言語種別 日本語
発表タイトル 術後膵液瘻に対する超音波内視鏡下経消化管ドレナージ術の当院での治療成績
会議名 第56回日本膵臓学会大会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎中山新士,池浦司,伊藤嵩志,池田正俊,丸尾基展,高折綾香,桝田昌隆,中丸洸,高岡亮,里井壯平,長沼誠
発表年月日 2025/07/26
開催地
(都市, 国名)
ホテルニューオータニ 東京 (東京千代田区)
学会抄録 web
概要 【背景】術後膵液瘻(POPF)は時に出血,膿瘍や腹膜
炎など重篤な経過をたどることがあり,保存的治療が
奏功しない場合は貯留液のドレナージが必要になる.
ドレナージには内視鏡下径乳頭的膵管ドレナージ
(ERP-D)や経皮的ドレナージ(PTD)が行われてきた
が,近年超音波内視鏡下経消化管ドレナージ(EUSTD)
の有効性が報告されている.【目的】2016 年1
月から2025 年1 月までに当院で経験したPOPF に対
し,EUS-TD の有用性について後方視的にERP-D や
PTD と比較検討を行った.【結果】EUS-TD/ERP-D/
PTD は12 例/13 例/20 例であった.患者背景はEUSTD/
ERP-D/PTD として年齢中央値は75 歳/65 歳/76
歳,男性で3 例/7 例/13 例,原疾患は膵腫瘍が9 例/10
例/7 例,術後から処置までの日数中央値は14 日/22
日/12 日であった.手技成功は12 例(100%)/12 例
(92%)/20 例(100%),臨床的改善は12 例(100%)/
12 例(92%)/19 例(95%)であった.初回処置はEUSTD
で外瘻のみ2 例,内外瘻10 例,ERP-D で内瘻のみ
6 例,外瘻のみ7 例,PTD で外瘻のみ20 例(US 下18
例,CT ガイド下2 例)であった.処置時間中央値は
EUS-TD で34.6 分,ERP-D で21.8 分,PTD は測定せ
ずであった.偶発症はEUS-TD で出血1 例,ERP-D
で軽症膵炎1 例,PTD は認めず,2 例ともに保存的に
軽快した.処置から退院までの日数中央値はEUSTD/
ERP-D/PTD として16.5 日/25 日/22.5 日であっ
た.総処置回数はEUS-TD で1 回10 例(83%),2
回以上2 例(17%),ERP-D で1 回4 例(31%),2 回
以上9 例(69%),PTD で1 回18 例(90%),2 回以上
2 例(10%)であった.再発症例はEUS-TD で1 例
(8.3%),ERP-D で1 例(7.7%),PTD で2 例(10%)
であった.【結論】ドレナージ方法の選択は液体貯留部
位やサイズを考慮して判断すべきである.EUS-TD
は一時的外瘻術になるが,手技成功,臨床的改善が高
く,処置回数,退院までの日数が少なく,安全で有用な
治療であると考えられた.