言語種別 日本語
発表タイトル 膵管空腸吻合部狭窄に対するダブルバルーン内視鏡下ERCP の治療成績
会議名 第65回日本膵臓学会大会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者松本浩尚,豊永啓翔,高山拓也,中川達矢,折野匡洋,島谷昌明
発表年月日 2025/07/25
開催地
(都市, 国名)
ホテルニューオータニ 東京 (東京千代田区)
開催期間 2025/07/25~2025/07/26
学会抄録 ウェブ
概要 【背景】術後再建腸管症例における胆膵疾患に対してダ
ブルバルーン内視鏡を用いたERCP(DB-ERCP)が保
険収載されて以来,胆道へのアプローチは広く行われ
てきたが,膵管へのアプローチは依然として困難であ
る.近年,膵管空腸吻合部(PJS)同定率向上のため,
Long cap(LC)装着による膵腸吻合糸の視認やGel immersion(
GI)法による膵液の可視化が有効との報告が
ある.【目的】術後再建腸管症例の膵管空腸吻合部狭窄
に対するDB-ERP 症例を後方視的に検討し,従来法
と,LC 装着およびGI 法を併用したGI-LC 法の治療成
績を明らかにする.【対象と方法】2006 年1 月から2024
年11 月までにDB-ERCP を施行した3109 件(1063
例)のうち,術後再建腸管症例におけるPJS に対して
DB-ERP を施行した306 件を対象とした(2006-2020
年:従来法105 件,2021-2024 年:GI-LC 法201 件).
GI-LC 法ではまずLC で粘膜を圧迫し,粘膜下を走行
する膵腸吻合非吸収糸を同定し,その近傍に存在する
PJS を探索する.同定困難な場合にはGI 法として視野
確保ゲルをLC 内に充填し,粘膜襞の伸展・分泌膵液
の可視化によりPJS の同定を行う.評価項目は1)盲端
到達成功率,2)ERP 関連手技成功率,3)偶発症発生
率とした.【結果】従来法,GI-LC 法それぞれにおいて,
男女比54:51,125:76,年齢中央値65 歳(26-84),
73 歳(18-88),1)盲端到達成功率100%(105/105 件),
100%(201/201 件),2)ERP 関連手技成功率81.0%
(85/105 件),97.0%(195/201 件)で有意差を認めた.
(p<0.001),3)偶発症発生率2.86%(3/105 件),0.5%
(1/201 件)(p=0.085),いずれも粘膜裂傷であり,全例
保存加療で軽快した.【考察】ERP 関連手技成功率は従
来法と比較してGI-LC 法で優位に高く,安全性も同等
であった.GI-LC 法は治療困難なPJS に対する新しい
アプローチとして期待されるが,今後更なる大規模な
検討が必要である.