言語種別 日本語
発表タイトル 多発性硬化症患者におけるSDMT変化と疾患修飾薬治療との関連の検討
会議名 第66回日本神経学会学術大会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎藤井ちひろ, 王晨堯, 隠岐光彬, 峠理絵, 篠藤祐也, 髙田真基, 吉永健二, 藥師寺祐介, 近藤誉之
発表年月日 2025/05/22
開催地
(都市, 国名)
大阪
開催期間 2025/05/21~2025/05/24
概要 【目的】多発性硬化症(MS)患者におけるSymbol Digit Modalities Test(SDMT)の改善・増悪と疾患修飾薬(DMD)治療との関連について検討する。【方法】2019年3月から2024年10月まで当院で診療したMS患者104例において、SDMTを経時的に測定し、前回検査と比較して±4 点以上をそれぞれ改善、増悪とした。施設での倫理審査手続きの後、診療録から後方視的に臨床情報を収集し、改善群の臨床的特徴やDMD との関連について解析した。【結果】対象104例(女性78例、男性26例)の病型は再発寛解型95例、進行型9例、初回検査時の年齢は43.9歳(以下、平均値)、罹病期間9.4年、EDSS 2.7、SDMTは47.4点であった。前回検査から13.1ヶ月の間隔をあけて、各症例1.8回(range: 1-5回)、延べ236回の追跡検査を行った。初回検査のSDMT得点は、年齢(p=0.7e-4)、罹病期間(p=2.3e-4)、EDSS(p<1.0e-4)と有意に相関した。延べ236回の追跡検査中、前回検査からの改善、増悪はそれぞれ61回(25.8%)、49回(20.7%)であった。改善群と増悪群との比較では、年齢、罹病期間、EDSS、前回SDMT得点、high-efficacy DMD(h-DMD: オファツムマブ、ナタリズマブ)使用割合などに有意差を認めなかった。H-DMD治療下では 25.9%、lower-efficacy DMD(l-DMD)治療下では26.5%に改善を認め、l-DMDからh-DMDへの切り替え例では30.3%、h-DMD間での切り替え例では31.5%に改善を認めた。l-DMD治療下の改善例と比較すると、h-DMD治療下の改善例では有意に前回SDMTが低得点であり(55.8 vs 39.5, p=3.0e-4)、l-DMDからh-DMDへの切り替え改善例(43.2, p=3.4e-2)、h-DMD間での切り替え改善例(32.1, p=4.0e-4)でも前回SDMTは有意に低得点であった。【結論】H-DMD治療下では、l-DMD治療下と比較して、継続・切り替え例ともにSDMT低得点からの改善が認められた。SDMT低得点症例においても、h-DMD治療によりSDMTが改善する可能性が示された。