言語種別 日本語
発表タイトル 医原性脳アミロイド血管症の画像とその診断
会議名 第44回日本認知症学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者◎藥師寺祐介
発表年月日 2025/11/23
開催地
(都市, 国名)
新潟市
開催期間 2025/11/21~2025/11/23
学会抄録 日本認知症学会誌 39(4),141 2025
概要 脳血管へのAβ アミロイド沈着症である脳アミロイド血管症(CAA)は通常高齢者に発症する孤発性CAAである。一方、ヒト屍体下垂体由来成長ホルモン投与例やヒト屍体硬膜移植後の病理学的なCAA発症の報告以降、脳外科手術歴や硬膜移植歴後、数十年で若年発症する医原性CAA(iCAA)という疾患が提唱された。高齢者では孤発性CAAとの鑑別が困難であるため、iCAAの診断は若年発症の認知症・脳出血の中で遺伝性CAAが否定されたものが前提となっていた。しかし医原性のAβ伝播は高齢者でも生じうるため、我々とロンドン大学で高齢者シリーズ5例を報告し、iCAAの臨床表現系の理解には高齢者の疑い例もサーべランスに含めるべきと主張した。このような背景からロンドン大学から公表された2025年の改変iCAA診断基準では、iCAAを疑う場合においては年齢は問わないこととなった。診断において聴取が必要な病歴として、ヒト由来の中枢神経組織を用いた治療歴や脳外科手術歴がある。画像的には脳葉出血の存在(脳深部出血合併許容)、脳円蓋部くも膜下出血、脳葉優位の脳微小出血、皮質脳表ヘモジデリン沈着のうち、どれか一つを有しているかを確認する必要がある。これらに加えて55歳未満、脳アミロイド沈着の証明、遺伝性CAAの除外が加われば臨床的iCAAの診断に近づく。iCAAの脳画像的な特徴は脳葉出血・脳微小出血、一過性の炎症性変化(脳浮腫、脳溝の浸出液)などARIAやCAAに類似する部分が多い。しかしiCAAでは脳深部の脳出血・脳微小出血の存在も許容され、経時的にそれら出血病変が増加すること、開頭手術側に多く初発すること、後に対側脳にも出現するようになることなど、ARIAやCAAでは捉えられなかった所見もあり、その病態の解釈について不明な部分が多い。今回はこれまでの知見や自経例を踏まえて、iCAAの画像診断の現状と課題について述べたい。